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倒れた稲穂と肥えのはなし(繁藤月報-巻頭言 2022.10)

近頃ようやく秋めいて繁藤も朝晩が涼しくなり、気持ちの良い季節になってきました。昨年から大教会で取り組んでいる稲田も美しい黄金色に輝いています。ただ、9月末に訪れた台風によって、田んぼの一部で稲が倒れてしまいました。この現象を「倒伏(とうふく)」と呼ぶそうです。いつも稲作のアドバイスをいただいている近所の農家さんからこんなことを言われました。

「稲が倒れたら、すぐに世話してあげないといけないよ。稲穂が水に浸かってしまうと、籾が発芽してしまって、とても食べられる米でなくなっちゃうから。」

そこで教えてくれた対処の仕方は、稲を3束以上で束ねてあげて自立させてあげるというものです。本部の月次祭で大教会を留守していた私に変わって、ある大教会役員(通称もっちゃん)が、その対処をしてくれました(本当に心強い)。しかも、ちょうどその稲が倒れたところは、今年の5月に少年会のみんなと一緒に田植えをした範囲でした。なんとか全滅を免れたようなので、ホッとした限りです。

なぜ一部のエリアだけ倒伏してしまったのかと疑問に思い、いろいろ調べてみると、いくつかの原因が見えてきました。一つは肥えのあげすぎで、稲穂が実りすぎで重さに耐えられなくなったこと。そしてもう一つが、中干しといって梅雨明けにあえて水を抜き、地面を乾燥させることによって根の活力が増加して、しっかりと大地に根を張るということができていなかったことです。

肥えのあげ方一つにしても、季節ごとの手入れにしても、なかなか奥が深いものです。当たり前ですが、ほっておいても勝手に育つということはなく、状況や旬に応じて適切な丹精をしなければ、美味しいお米は収穫できません。お道の教えはよく農業に喩えてお教えいただいていますが、なるほど子育てや人材育成に関しても通づるものがあると気付かされます。まだまだ稲作も2年目、会長を拝命してまだまだ半年。天然自然の理を肌で感じながら、先の往還道を楽しみに歩んでいきたいとあらためて思いました。

いよいよ今月30日に御礼団参を迎えます。「肥えは声」と教えていただく通り、お互いに声をかけあって、この旬に一人でも多くの方と共におぢばに帰らせていただきましょう。

天理教繁藤大教会長
坂本輝男

(2022年10月の繁藤月報の巻頭言より)

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