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聴き手の心構えが足りない(繁藤月報-巻頭言 2024.11)


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講話や挨拶など人前に立つことが多い私がいうと、なんとも挑発的かつ他責たせき的なタイトルだが、誤解なきよう最後までご一読いただきたい。

ちなみに以前に書いた『「おはなし」の技術が足りない』というコラムの続編である。

至極のおはなし

最近、ハマっていることがある。それは運転中などにお道のおはなしを聴くことだ。

周知の事実だと思うが、天理時報などをスマホで閲覧できる「天理時報オンライン」というサービスがある。

そこで最近提供されるようになったのが、昔の偉大な先生方の講演やひとことはなしの音声コンテンツ。例えば、筒井敬一先生や常岡一郎先生などの「おやさと講演会」や「ラジオ天理教の時間」を聴くことができる。

これらは有料会員しか聴くことができないが、無料のお試し期間もあるみたいなので、ぜひこの機会によければ登録して触れてみてほしい。

当たり前だが、私がユーチューブで喋っているものなんかより、段違いに素晴らしい。

念の為にいっておくと、こういう紹介をするとまるで道友社の回し者のようだが、決して裏金を得ているわけではないので、あしからず(笑)。

打てば響く人に

ーーお道のおはなしは明るい方がいい。

先述の音声コンテンツを聴いて、私はこう思った。

もちろん苦労話や真面目な話もあってもよいが、「陽気ぐらしの天理教」というだけに、最終的には聴き手の心が温かくなる、希望が湧いてくる話である方がいい。そしておはなしを聴いていると、昔の先生方の話し方の力量に感銘を受けるとともに、音声だけでもひしひしと伝わる話し手の熱い信仰に、尊敬の念が沸き立つ。

同時に、最近気付いたことがある。それは話し手だけでなく、聴き手のレベルも高いということだ。それは音声から時折漏れ聞こえる笑い声、おはなしに呼応する拍手などからうかがえる。

例えば柏木庫治先生の講演音源を聴くと分かりやすい。繁藤の三代会長である浜田道久先生の講演テープを聞いても同じ感触を得る。

私は実際にその場に居合わせたわけではないが、おそらく聴衆には「打てば響く」という人が多かったのだろうと想像する。

例えば「◯◯に向かって邁進しましょう!」と皆を奮い立たせる言葉に「わー!」と拍手が起こったりする。

話し手の熱量に対し、それを受ける側の聴衆もまた熱く応えているのだ。場合によってはその雰囲気を「熱狂」と表現してもいいのしれない。

昭和という時代もあるだろう。いや、違う。それだけではないはずだ。

現在も毎月25、26日に「おやさと講演会」は開催されている

良い舞台は演者と観客が共に創り上げるもの

芸能の世界ではこういう表現をすることがある。

演劇や歌舞伎、落語の世界でもそうだ。熱狂という点ではアイドルのコンサートも同じことがいえるかもしれない。

演者や話し手は、その日の舞台の良し悪しを「観客のせい」するようなことはあってはならないが、胸が震えるような場を生み出すには、受け手の前のめりな姿勢が必要不可欠なはずだ。

不肖ふしょう、私もおはなしをする機会は多いが、頷きながら熱心に聴いてくださる方の存在ほどありがたいものはない。

逆にあえてここで具体例は出さないが、聴き手の態度一つによって話し手の心を砕くことは簡単だ。

聞き方あいうえお

では、より良い聴き手の態度というものはどんなものだろうか。

学校の先生が小学生などに教える「聞き方あいうえお」というものがある。

あ・・・相手の顔を見て聞くこと
い・・・一生懸命に聞くこと
う・・・うなずきながら聞くこと
え・・・笑顔で聞くこと
お・・・おしまいまで聞くこと

これは子どもだけに当てはまることではない。当たり前だが、大人にとっても本当に大事なことばかりだ。

話し手にとってもありがたい存在になるはずだし、何よりこんな素直で聴き上手な方は、得られるものが大きいのは言うまでもない。

神様のおはなしを聴く姿勢

教祖の逸話篇にこんな話がある。

教祖のお話を聞かせてもらうのに、「一つ、お話を聞かしてもらいに行こうやないか。」などと、居合せた人々が、二、三人連れを誘うて行くと、教祖は決して快くお話し下さらないのが、常であった。「真実に聞かしてもらう気なら、人を相手にせずに、自分一人で、本心から聞かしてもらいにおいで。」と、仰せられ、一人で伺うと、諄々とお話をお聞かせ下され、尚その上に、「何んでも、分からんところがあれば、お尋ね。」と、仰せ下され、いともねんごろにお仕込み下された。

(教祖伝逸話篇 116.自分一人で)

信仰者として教えに触れる、理を受け取る姿勢には「素直さ」がどこまでも肝心である。その姿勢、心構えによって神様に背中を押していただけるかどうか、大きな分かれ道になるのだろう。

かくいう私も、話し手である前に、受け手としての心構えを今一度、自分に問いただしたい。

11月初旬に第3回目の「ようぼく一斉活動日」が開催された

結びに

先の秋季大祭で、真柱様から以下のおはなしを頂戴した。

三年千日の期間は、動かせていただくことが大切である。一生懸命取り組んで、年祭の当日、おぢばへ帰ってきてもこなくても、その日をうれしい心で迎えることができるように、まだ三分の一残っている三年千日を、勇み心を奮い起こして通ってくださるようお願いしたい。

さて、あなたはどんな聴き手だろうか。

繁藤につながるお互い、いただいたお言葉をただ真っ直ぐに受け、打てば響く素直さをもって、親神様に背中を押していただきたい。

  立教187年11月1日
    天理教繁藤大教会長
          坂 本 輝 男あきお

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